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■防災情報の一元化で連携促進
平時の余剰生かす仕組みを
効率的に適正量を管理

ー 「防災プラットフォーム」によってどのような課題の解消を目指しているのでしょうか。

中西:一般的な備蓄食は、行政の防災担当者が、紙やエクセルなどで保存期限や在庫数の管理、棚卸しなどをしているケースが多く、確認漏れや人事異動に伴う引継ぎ漏れなどで徹底されていないという課題があります。プラットフォームを活用することで、誰でも備蓄品の在庫状況を同じインターフェースのシステム端末上で把握できるだけではなく、地域ごとの人口動態を考慮した在庫シミュレーションをもとに、人手をかけることなく、適切な備蓄を管理できるようになります。

災害は広域に及ぶことが一般的です。近隣自治体の備蓄情報に加え、周辺企業が提供できる防災備品の在庫情報をプラットフォームに集約することができれば、災害発生時に素早く備蓄状況が把握でき、被災者への支援に迅速に動けるようになります。平時から地域全体で必要な情報を一元化するデジタル・プラットフォームを提供することと同時に、災害時の備えには何が必要か、「防災ISO」などの、ものさしを策定することが重要だと考えています。

 

ー 「防災ISO」によって、どのような展開を目指しているのでしょうか。

中西:防災に関するISOがいまだ存在しない中で、災害経験と防災に関する知見が豊富な日本が、世界に先駆けて国際的な標準規格を設けようと動き始めており、今年1月には東北大学を中心に産学官連携の「防災ISO準備委員会」が発足しました。そこに、ワンテーブルとベル・データは防災プラットフォームの構築で協力し、世界基準の承認に向け共同で取り組む方針です。

プラットフォームの構築には、ワンテーブルとJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)の「BOSAI SPACE FOOD プロジェクト」も連携しています。「防災✖ 宇宙」の視点で事業創出と社会課題解決に取り組む共同企画で、様々なパートナー企業との関わりもあり、防災の「産業」としての広がりが期待できます。このような多様な取り組みによって、防災事業を国内だけではなく、海外にも提供していける可能性があることが見えてきました。

■「安心」に付加価値を
システム化実証と発信、沖縄から
観光産業の単価引き上げに期待

ー そのプラットフォームの実証実験の場として沖縄を候補地に挙げていますが、沖縄にはどのような特徴があるのでしょうか。

中西:前職から沖縄へ訪れる機会が多くあり、沖縄をITという視点で見てきました。防災事業のデジタル化を進めることによって国内で一番飛躍する地域が沖縄だと思っています。沖縄は毎年台風が発生し、災害面でもリスクが高い地域です。定住者に加えて、国内外からの観光客が1日3万人近くいるのも特有です。

防災情報に加え、観光客の動態情報を防災プラットフォームで管理することで、「観光地の安心と安全」に取り組むためにどのような対策が必要か、可視化できるようになると考えています。安心や安全は観光地を選ぶ上でより一層重視されていくでしょう。住民だけでなく観光客も想定に入れた防災体制があるという付加価値が高まれば、より多くの観光客が沖縄を訪れるようになり、観光産業に携わる県民の所得水準の向上にも貢献できるのではないかと期待しています。